

「選挙が近づくと減税の話が出るけれど、結局手取りは減っている気がする……」
有権者が抱くこの違和感の正体を探るべく、歴代政権が選挙前に掲げた「アメ(公約)」と、当選後に実行した「ムチ(負担増)」の実態を数値で整理しました。
私たちが納める税金や社会保険料が、数十年でどのように膨れ上がってきたのかを解説します。
1. 歴代政権の「選挙前公約」と「当選後の実態」
日本の政治史を振り返ると、選挙での勝利を優先するために増税を隠したり、期間限定の減税を打ち出したりするパターンが繰り返されています。
中曽根政権:歴史に残る「ウソつかない」発言

- 選挙前(1986年): 「大型間接税は導入しない。この顔がウソをつく顔に見えますか?」と断言して圧勝。
- 当選後: 直後に「売上税(5%)」の導入を提案。猛反発により断念しましたが、これが後の消費税(3%)導入の伏線となりました。
安倍政権:増税の「延期」をカードに連勝

- 選挙前(2014年・2016年): 本来決まっていた消費税10%への引き上げを「延期する」ことを公約に掲げ、衆院選・参院選で勝利。
- 当選後: 景気条項を削除するなどして、最終的に5%→8%→10%へと段階的な増税を完遂しました。
岸田政権:目立つ「減税」と見えにくい「負担増」

- 選挙前(2023-2024年): 1回限りの「定額減税(1人4万円)」を実施し、物価高対策をアピール。
- 当選後: 防衛増税(所得税・法人税・たばこ税)の決定、復興特別所得税の最長20年延長、さらに「子育て支援金」名目での社会保険料上乗せ(2026年度〜)を矢継ぎ早に決定しました。
2. 右肩上がりの「国民負担率」:所得の半分が消える時代へ
政権が交代しても、一貫して増え続けているのが「国民負担率」です。これは、個人の所得に占める「税金」と「社会保険料」の合計割合を指します。

【図解】国民負担率の歴史的推移(財務省)
かつては「5公5民(収穫の半分を年貢に取られる)」は過酷な時代の代名詞でしたが、現代日本はその水準に肉薄しています。
- 1970年度(昭和45年):24.3% 高度経済成長期。手取りの約4分の1を納めれば済んでいました。
- 1990年度(平成2年):38.4% 消費税が導入(3%)され、社会保険料も上昇し始めた時期。
- 2023年度(令和5年):46.1% 過去最高水準を記録。手取りの半分近くが税と保険料で占められる「重税感」が顕著に。
- 2026年度(現在):46.8%(予測値) 防衛費増額や少子化対策に伴う新たな負担増により、さらなる上昇が見込まれています。
3. なぜ「税金」ではなく「社会保険料」が増えるのか?
自民党政権下で目立つのは、所得税などの「税率」を直接上げるよりも、医療や年金などの「社会保険料」を上げる、あるいは「控除」を廃止するという手法です。
- 選挙の争点になりにくい: 「増税」はニュースになりやすいですが、「社会保険料の改定」は専門的で国民の関心が分散しやすい。
- ステルス(隠れ)負担増: 小泉政権で導入された「厚生年金保険料の自動引き上げ(18.3%まで)」のように、一度仕組みを作れば、選挙に関係なく自動的に手取りを削り続けることが可能です。
まとめ:有権者に求められる「リテラシー」

「減税」という魅力的な公約の裏で、どのような「恒久的な負担」がセットになっているのか。そして、自分の手取りが「税金」ではなく「保険料」や「控除廃止」によってどれだけ減っているのか。
数字の推移を正しく理解することは、単なる不満を抱くだけでなく、自分自身の資産を守るための「防衛策(iDeCoやNISAの活用など)」を考えるきっかけになります。














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